いまこそはじめよう!電子帳簿保存法対応~2019年度の法改正のポイントと適用事例~

2021年度の改正のポイント、書類を電子化するメリットなどは、『電子帳簿保存法 スキャナ保存の導入で経理をペーパーレス化』をご覧ください。

「保管帳票件数 37,000件/年 を廃棄へ」(製造業 H 社様)
「導入後3か月で段ボール約100個分の営業文書を削減、保管スペースが不要に」(株式会社シモジマ様)
「税務調査の対応(事前準備、コピー対応、後片付け)が、90時間から4時間(PCを準備するだけ)に短縮」(PFU)

これらは電子帳簿保存法4条3項(電帳法スキャナ保存)対応による実際の効果です。

電帳法スキャナ保存により、自社でスキャン電子化したデータを書類の保存に代えることで書類を廃棄できます。ただし、これは申請承認後からの適用になっています。

2019年度の税制改正により、一定の要件を満たせば、申請承認前の国税関係書類の重要書類についても、届出をすることで、スキャナー保存できるようになりました。このような制度緩和の後押しにより、電帳法スキャナ保存の対応は、非常にすすめやすくなっています。

この記事では、電帳法スキャナ保存対応のメリットと、より利用しやすくなった2019年度の改正ポイント、そしてPFUが電帳法スキャナ保存のスペシャリストといわれる、そのわけをお伝えします。

電子帳簿保存法とe-文書法

電子帳簿保存法は、国税関係帳簿を対象に電子データの保存を認めた法律として、1998年に施行されました。

e-文書法(2005年)は、書面で保存が義務付けられた全ての法定保存文書の電子化を容認する通則法です。これにより電子帳簿保存法に4条3項が追加され、スキャナー保存が可能となりました。(電帳法スキャナ保存)。

スキャナー保存で何が良くなるのか?

想像してみてください。

たとえば、大量の紙文書を保管しなくても良くなったら…
紙の保管に占有されていたスペースは、新しい会議室や、社員のリフレッシュコーナーへと生まれ変わります。

たとえば、紙ではなくデジタルデータを検索できるようになったら…
取引先からの問合せでは、電話を切らずに自席のパソコンで情報を検索し、画面を見ながら即回答できます。電話を切って大量の書類の中から目的の書類を探しに行く必要がないからです。

税務調査では、大量の国税関係書類を準備する必要がありません。パソコンとプリンターの準備のみで済みます。

これらはすべて、PFUで電帳法スキャナ保存に対応したことによる、実際の効果です。

紙の保管にかかっていた年間500万円のコストはゼロになり、決算業務や日次業務を中断し、税務調査の対応にかかっていた時間は、90時間から4時間になり、残業をなくすことができました。
また、1件あたり30分かかっていた取引先からの問合せ対応は、1件あたり5分(年間2,000時間を削減)で済むようになりました。

PFUと電子帳簿保存法との深い関係

PFUは、このe-文書法、電子帳簿保存法に深く関わってきました。

スキャナービジネスの主戦場である米国では、1997年から税務文書の電子化をIRS(※1)が公式に容認し、スキャン電子化が進展しています。これに比べると、日本の法人税法の紙原本保存の規定はあまりに非効率なため、PFUは、経団連などでの活動で政府提案(※2)を行いました。その結果e-Japan政策でのe-文書法の制定、電子帳簿保存法4条3項(電帳法スキャナ保存)へと繋がりました。

PFU は、2005 年に電帳法スキャナ保存が施行されると、日本初の承認を得て自社内の請求書のスキャナー保存を開始しました。しかしながら、当時からスキャナー保存の要件が厳しく、施行から10年を経た2014年時点でも、承認件数は152件とほとんど普及しませんでした。

このような中でも、PFUでは、厳しい審査要件をひとつひとつ丁寧に確認し、クリアしていく取り組みを通して、普及の妨げになっていた要件を洗い出してきました。そして自社内での取り組みに基づき、JIIMA(※3)での活動を通じて要件緩和の提案(※4)を行いました。

そのかいもあり、政府が規制改革として見直しを行い、2015年に電帳法スキャナ保存の施行規則改正により3万円の上限と電子署名の要件などが撤廃されました。この改正以降、電帳法スキャナ保存の承認件数は急増に転じました。

※1:Internal Revenue Service(アメリカ合衆国内国歳入庁)
※2:‘03年 日本経団連 税務書類の電子保存に関する報告書
https://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2004/018report.pdf
※3:JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)では文書情報マネジメントの普及啓発、人材の育成、規格の標準化の推進などを推進しています。
※4:PFUはJIIMAに所属しており、JIIMAから以下の提案を行いました。
国税庁殿へJIIMAからの報告とお願い(2011年11月)
https://www.jiima.or.jp/pdf/policy_recommendations3.pdf

出典:国税庁 電子帳簿保存法に基づく電磁的記録による保存等の承認状況 2018年10月
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/sonota2017/denshichobo.htm

2019年度改正のポイント

そして今年、2019年度にも税制改正により電帳法スキャナ保存制度の要件が緩和されました。

・承認前の書類もスキャナー保存が可能

これまで国税関係書類の「重要書類」(※5)をスキャナー保存するには、事前の申請が必要でした。今回の改正により、電帳法スキャナ保存を申請する前に保存してある国税関係書類も、届出をすることによりスキャナー保存できるようになりました。
※5:国税関係書類のうち国税庁長官が定める資金や物の流れに直結・連動する書類

・入力期間制限の緩和

もうひとつの大きなポイントとして、国税関係書類の入力期間制限の緩和があります。これまで、国税関係書類を受け取ってから、電子化したデータおよび関係する情報の入力を完了するまでの期間は、(書類の)受領後「最長1か月プラス1週間(37日)以内」と定められていました。今回の改正により、入力期間の制限が、「最長2か月プラスおおむね7営業日」以内に緩和されました。

これにより、ある程度の入力期間が必要なシェアードサービスやBPOなどを利用した業務プロセスを構築しやすくなりました。

まさにいまが電子帳簿保存法対応のチャンスといえます。

グローバルではとっくに常識

電子化社会でボトルネックとなりやすい紙エビデンスの電子化。
日本では始まったばかりですがグローバルでは常識です。さらに米国で多く行われている、スマホを用いた入力も2016年に容認され、出張中の入力、申請が可能となりました。
今回の税制改正を機に、導入しやすくなった電帳法スキャナ保存制度の活用をぜひ検討されてはいかがでしょうか?

PFUでは、長年の経験と実績をもとに、電子帳簿保存法で要求される「規程」や「運用管理」を満たすようご支援するとともに、今後の制度改正や、環境変化に応じた業務プロセスの見直しまでもしっかりとサポートいたします。

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