OKI×PFUの共創で見つけたもの

沖電気工業株式会社様(以下OKI)とPFUは、SDGs(持続可能な開発目標)をテーマに、知識・技術の共創を通して新たな事業活動のアイデアを検討するための共創ワークショップを開催した。
参加したメンバーが共創活動から学んだ、未来を見つけ出すプロセスと、新しい考え方や変化とは。
『未踏プロジェクト』に続く、PFUの未来創出に向けた共創プロジェクト『ポップロ』について紹介する。

SDGsをテーマとした共創プロジェクト『ポップロ』

SDGs(Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標)は、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現するための行動計画で、2030年までの達成を目指した17の目標と169のターゲットが定められている。

SDGsの17の開発目標

このような社会課題の達成に、PFUが、どのように向き合い、取り組んでいくべきか。

そのためのアイデアと、共創の可能性を探るための第1歩が、2019年の5月から6月にかけて行った『ポップロ』である。

『ポップロ』という名前には、これまでスキャナーの販売で協力関係にあるOKIのイノベーション創出活動“Yume Pro”(※1)から、新しい考え方を学び、またOKIとPFUとの関係をより良いものにしていく、「ポップなプロジェクト」という想いを込めた。

『ポップロ』の目的は2つ。ひとつは、OKIとPFUの強みを活かして、SDGsに掲げられているゴールの達成に資するアイデアを創出すること。もうひとつは、共に課題に向き合い、アイデアを生み出し、新たな価値を創り上げる共創活動を通じて、参加メンバーの視野を広げ、オープンマインドを養うことである。

両社から10名ずつ計20名とファシリテータ4名が加わり、ワークショップがスタートした。ポップロでは、この17の目標から、PFUの事業と関係があり、メンバーが自分ごととして取り組める課題を4つ選び、チームごとに検討を進めた。

今回課題として選んだのは、「3 すべての人に健康と福祉を」「4 質の高い教育をみんなに」「8 働きがいも経済成長も」「11 住み続けられるまちづくりを」である。

このような大きなテーマに対して、参加したメンバーはどのように取り組み、何を見つけたのだろうか?

ここでは、各活動の概要とPFUの2人のメンバーのヒアリング内容を通して、その様子をお伝えしたい。

まずは、お互いの強み、技術を知ることから

SDGsの課題検討に入る前に、新規事業を考える上でベースとなる、OKIとPFUの強みや技術を学ぶ場が2回に分けて設けられた。

第1回はOKIのショールームを訪問し、高度IoT社会の実現に向けた最新の取り組みを紹介いただいた。

OKIのショールームには商品化に向けたものまでも展示されている。実証実験レベルのものもふくめ、幅広い技術と多様な取り組みから、OKIの「新しいことを試そうという組織風土」が感じられた。

第2回はOKIメンバーをPFU横浜本社に迎えて、PFU側の技術を紹介。

OKIメンバーへの紹介ではあるが、PFUメンバーにとっても、自社製品について改めて理解を深める良い機会となった。

SDGsの本質を探る

いよいよ、SDGsゴールの達成に向けて新たな事業活動のアイデアを創出していく。

第3回、第4回は、テーマごとに4つのチームに分かれ、OKIのイノベーションルームYume ST(ユメスタ)を活動の場として利用し、ワークショップ形式で進められた。

ゴールは、SDGsのゴールの達成に向けたビジネスアイデアを創出すること。

第3回は選んだテーマの社会課題に対する因果関係を深掘りし、達成すべき課題はどこにあるのか、を追求した。各自課題に取り組みつつ、2週間後の第4回では、ゴールを達成するのための具体的なアイデアを創出した。

たどり着いたのは、ひとりでは決して思いつかなかったアイデア

営業の高畑さんは、入社2年目にしてチームのリーダーを引き受けることになった。テーマは「3 すべての人に健康と福祉を」である。

パートナー営業統括部 高畑(たかはた)さん

ワークショップの前は、不安があったという。共創相手のOKIメンバーはお客様であり、年齢も上だ。

「こんな若い自分がでしゃばっていいものか」とためらいもあった。しかし冒頭に「そういう壁を取り払って話し合いましょう。」というグランドルールが提示されたことで、その不安を取り払うことができた。

「人生経験が浅く、知らないことも多いからこそ、どんどん発言しよう。」と気持ちを切り替えて臨むことができた。

しかしまた、アイデア出しで行き詰まってしまう。

「若手としてフレッシュな意見を、と期待されていたのですが、序盤ですでに手が止まってしまい、若手のくせに自分は頭が固いな、と…。」

それでも、「まだ何かあるはず」と観点を変えながらメンバー全員で考え続けた。

「アイデアの実現にあたって障害になることは何か、を考えました。私のチームのアイデアは、新しい健診の仕組みの導入だったので、それぞれの忙しい生活がある中で、新たに何かをする、となると負担に感じて普及しない。できるだけ普段の生活を変えずに浸透させるには?では普段の生活の様子は?と考えを広げていきました。」

そして誰もが思ってもみなかったアイデアにたどり着いた。メンバー全員から思わず「おぉ!」の声が自然ともれた。

OKIとPFUの、様々な部署から集まった、バックグラウンドの異なるメンバーの発想や意見が交わり、自分ひとりでは決して思いつかなかった視点に気づくことができた。新しいアイデアはこんな風に生み出すのだと知った、この経験は、自分の中での革命のようにも感じられた。

自分が参加する意義は何か、を考えた。

ソフトウェア開発者の安土(あんど)さんは、テーマ「11 住み続けられるまちづくりを」に取り組んだ。

セキュリティソフトウェア事業部 安土(あんど)さん

自身のことを「新しい環境、新しい人間関係、新しい状況に弱い」と分析し、「みなさんが活発に意見を出し合っている中、あまり自分の意見を出すことができなかった。」と最初のワークショップを振り返る。

その反省をふまえ、「必要とされる部分が何で、どうしたら貢献できるか」を強烈に意識し、次のワークショップまでの2週間、事前情報を収集するなど徹底的に準備して次のワークショップに臨んだ。

「チームの弱い部分をしっかり調べて準備していくことで、自分が参加する意義を見つけることができましたし、貢献できたと実感しています。」

こうして、参加したメンバーのそれぞれがぶつかった自身の壁を乗り越え、最終的に生まれたアイデアは、なんと272個。たった2日間で、である。

ビジネスの可能性を探る

生み出された多くのビジネスアイデアから、各チームで1つに絞ってさらに検討を続け、ビジネスモデルキャンバス(BMC: Business Model Canvas)のフレームワークを使って磨いていった。

各チームのBMCには、それぞれのビジネスアイデアについて「お客様が誰で、そこに与えられる価値は何か、その価値をどのように実現し、提供するか」が、分かりやすい言葉で表現されている。これらのアイデアは、ワークショップの成果として社内発表を実施するとともに、実現の可能性について引き続き検討を続けている。

「未来から考える」ということ

参加したメンバーが『ポップロ』を通して見つけたものは、ビジネスアイデアだけではないようだ。

「今回、『ポップロ』を通して、OKIさんとより進化した関係を築くことができました。他のお客様とも、このような企画があれば、もっと良い関係が築けるかもしれないという可能性と期待を感じています。」と高畑さん。

未踏プロジェクトから続けて参加を希望した安土さんは、他のメンバーに対して次のように感じていた。「考える力や知識の深さに、正直、打ちのめされました。全員すごいな、と。」

だが、それと同時に気づいたこともある。新しいアイデアを生み出す手段や仕組みがあれば、どんなテーマからでも考えることができる、ということだ。

これまでは、いま自社にある製品や技術をベースに新しいビジネスを考える、という考え方しか知らなかった。

しかしポップロでは、SDGsという大きな社会課題に対して「どんな未来を実現できるのか」をターゲットに、課題や原因を掘り下げ、自分ごとに落とし込んで考えることができた。

さらに、異なるバックグラウンドの人達と一緒に考えることで、様々なアイデアが湧き出し、普段の自分からは考えつかないようなアイデアを生み出すことができた。

ポップロで学んだアイデアの生み出し方、考え方は、どんなテーマにも適用できる。社内でも、様々な部署の人と交流してアイデアを生み出し、育ててみたい、という思いが湧いているという。

安土さんは「そうして生み出した新しいアイデアの実現に向けて、自分も技術者として貢献していきたい。」と決意を語った。

実現するのは3年後、5年後、あるいは10年後かもしれない。でも、未来はもう、始まっているのだ。

実現に向けて

ポップロに参加したメンバーは、SDGsが掲げる開発目標をとても大きな社会課題と感じ、自分ごととして取り組むことに難しさを感じていた。

しかし、そのような大きな課題も、因果関係をひとつひとつ分解し、身近な問題へと置き換えていくことで、ゴールの達成に向けたアイデアを創出することができた。

これらは共創活動でなければ生まれなかったアイデアであり、知ることのできなかった考え方である。

ポップロを通じてSDGsの本質に触れ、共創活動の必要性や可能性について、新たな気づきを得たPFU。

自分達が今後、社会に対して、どのような価値を提供し、貢献していけるのか。

これからも、様々な企業と共に考え、取り組んでいく。

(※1)「Yume Pro」は、沖電気工業株式会社(OKI)の登録商標です。
なお、ポップロの様子は、OKIの以下のHPにおいても紹介されています。
https://www.oki.com/jp/yume_pro/education/archives/20190703/index.html

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