Plug and Play Tech Center(シリコンバレー)から考えるPFUの未来

2019年8月、アメリカ、シリコンバレーの地、Plug and Play Tech Centerに、PFUは若き技術者を送り込んだ。Plug and Play Tech Centerには、様々な国から、多くのスタートアップ企業や、大企業、投資家などが集まっている。PFUから送り込まれた彼らのミッションは、スタートアップとの共創による新規事業創出だ。

私たちを取り巻く社会は、より不安定で、不確実になりつつある。ビジネスにおいても、ひとたび成功した製品、あるいは、ビジネスモデルであっても、あっという間に市場から消え去ることもしばしばだ。それはPFUとて例外ではない。
変化する社会に適応していくには、自らも変化しなくてはならない。ビジネスにおいては、より短い期間で新しいビジネスや市場を生み出していくことが求められる。それには、技術やアイデアをひとつの企業の中に閉じるのではなく、他の企業と共に、スピード感をもって新たな価値を作り上げることが必要だ。

しかし、これがいかに困難であるかは、想像に難くない。Plug and Play Tech Centerで、この難問に挑むPFUの若者たちを、かつていくつもの新規製品を世に出してきた、事業創出の先達である、松本(現在は、広報戦略室室長、およびイメージング事業本部ビジネス推進統括部長を務める)が訪れた。

Plug and Play Tech Centerとは

松本今日はPlug and Play Tech Centerに来ています。笠原さんと、松野さんと、小林さんの3名に来ていただいています。笠原さんと小林さんが、ここPlug and Play Tech Centerで活動していて、松野さんは、PFU Americaから、経理という立場でサポートしてくれています。

――まず、Plug and Play Tech Centerがどんなところか教えてください。
笠原Plug and Play Tech Centerには、この、シリコンバレーの地で何か新しいことを始めようという、世界各国の企業が集まっています。スタートアップとの共創で早くモノを作りたい、という場合、企業がどうスタートアップと接触するのかが難しいのですが、このPlug and Play Tech Centerという場所がプラットフォームとなってつなげてくれる、そういう場所です。

小林他にもアクセラレーションプログラムを通して、スタートアップをみんなで育てるという側面もあります。

松本企業とスタートアップとの交流って、プレゼンテーションみたいなことが定期的に行われているんですか?

小林企業とスタートアップ、双方にそういう場がありますね。

笠原毎週、金曜日の朝に、『ピッチ』という、スタートアップから企業に対して、サービスやプロダクトをアピールする場があります。また、『リバースピッチ』という、企業からスタートアップのほうに、“一緒に仕事をしませんか”と提案をする逆のピッチもあります。それ以外にも、FinTechなどの分野ごとに、ピッチイベントをやっています。大体2週間に1回は何かしらのイベントをやっていますね。
そういうピッチやイベントを通じて、企業とスタートアップがお見合いをする場となっています。

他の企業を知って見つけた、PFUに足りないもの

松本他の企業のピッチとかで、気になるところとか出てきました?

笠原いきなりぐっと核心にきましたね(笑)
実は、他の企業の話を聞いてわかったことがあって。リバースピッチでは、“私たちはこんな未来を描いています。それにはこの部分が足りないので、一緒に共創を描きませんか”という提案をするんですね。
それを聞いて、僕たちに足りてないと思ったところが、“こういう未来を描きたいから、こういうプロダクトがあって、その中のこの技術が足りない”。こういう具体的な文脈が作れていないんですね。
例えば、ペーパーレス社会を目指すから、こういうソリューションを一緒に作りましょう、こういう提案ができればすごく刺さるはずです。なので、そういう具体的なイメージを作り上げないといけないと考えています。

PFUの未来のビジネス!?~現実のモノとデジタルをつなぐ~

松本PFUの未来とか、サービスとして、何かイメージしているものってあります?

笠原今、僕たちはまず、どのような領域で社会に貢献できるのか分析しています。
その中のひとつが、うちの会社の強みは、現実のモノや活動をデジタルに落とし込む、というところ。デジタル化した先は、色々な会社があるけれど、その「中間」で活躍する企業というのは、特にこのシリコンバレーにはないんですよ。なので、インプット(人やモノなどのアナログ的な要素)とアウトプット(デジタル化したものを利用するアプリケーションやサービス)の間、場つなぎするところに特化することが、PFUの目指すべき領域だと思っています。

松本個人的には、真ん中だけをビジネスにするのは難しいんじゃないかな、という気がしていて。エンドユーザーが触れる、具体的で、明確なサービスやプロダクトがないと、「中間」という部分のビジネスも可視化されないし、伝わらないんじゃないかな。

笠原エンドユーザーが触れるところ、特にソフトウェア関連が欲しい、という話もあったんですけど、そこってフットワークの軽さが命なんですよね。何が当たるか全然わからない分野なので。
なので、まずは、インプットとなる「モノ」、ハードウェアをしっかり作ろうと考えています。そこから、スタートアップとの共創で、エンドユーザーが触れるアプリケーションの部分をやってみたい。“うち、こんなデバイスを持っているから、こういうアプリケーションがあるといいよね”とか、“アプリケーションがあるなら、うちのインプットのほうもカスタマイズするよ”という感じで。
なので、あえての「モノ」起点で。でもゴールが「モノ」だけで終わるわけではないです。僕たちは。

松本ある程度アウトプットとなるビジネスが見えてきたら、日本のPFU本社にも出していく予定?

笠原あえて、アメリカで、スモールビジネスまで試してみるつもりです。グローバル展開が見えてきたかな、というタイミングで、日本の本社と一緒に考えていくようにしたほうがいいと考えています。ある程度、利益が見えてくれば、組織として人も動かしやすくなるはずなので、最初はなるべく小さい組織でビジネスを進めたほうが、双方にとって、スピード感をもってやれると考えています。
ただ、だからといって壁を作るわけではなくて、活動自体はどんどん日本のほうにも伝えて、そのときどきのタイミングで、「やりたい!」ということがあれば、ぜひ一緒にやっていきたいです。

受け継がれる魂~PFUは、ずっとチャレンジし続ける会社だ~

松本昔、僕が製品開発をやっていたころには、いろんなプロジェクトを同時に走らせていて、『Magicbaton(マジックバトン)』(マウスを使ってクラシック音楽をリアルタイムで指揮するソフトウェア)をやったり、『BossaNova(ボサノバ)』(Java®()ベースの携帯コンピュータ)をポンとやってみたり、『MARON-1(マロン・ワン)』(携帯電話で遠隔操作可能なインターネット対応型ロボット)を立ち上げたりとかなり色々作ってきた。
結局、全部成功してるわけじゃないけど、でも「いいよ、やれ」って言ってもらえて、かなり自由にやらせてくれた。

笠原先日、一時帰国した時に、そういう話をしたんですよ。PFUは、今も昔もずっとチャレンジし続ける会社だっていう。
その時、「PFUのヒストリーを語るうえで、ぜひシリコンバレーに、Magicbatonを置きたい。現物を持ってきたい」と言ったんですけど、結局見つからなくて。

小林本社の倉庫にも、結構面白いものがいっぱいあったはずですよね。

松本俺、持っているかもしれない、家に。

笠原ぜひ、寄贈してください(笑)

松野PFUって本当は、何かを新しく考える下地はできているんですね。
Rising-V(社員の自主的な企画・提案に対して、その実現を支援するPFU独自の制度)とか。最近も、「ピッチコンテスト」というのをやって、作ったアイデアについて、事業化いけますか、どうですか、というのを、オープンに皆さんに見ていただいたり。
あとは、皆さんが共通意識をもって、やりたい人がやりたいことをできるように、組織や仕組みがうまくかみ合っていくと、もっといろんなことができる会社になる、と思っています。
個人的な想いとしては、そうやって出てきたアイデアを、Plug and Play Tech Centerでスケールアップさせて、新しいものをどんどん作っていく、そういう流れを作っていきたい、と思っています。

熱い想いを奮い起こす~「やりたい」を、一緒にやろう~

笠原日本との交流をもっと活発にして、日本にいる技術者、特に若い人たちを刺激していくことも必要だと思っています。だから、もし可能であれば、僕たちもPFUの石川とか横浜とかで、こういう活動をしているよ、という話をぜひしたいな、と思いますね。内容としては、成功したぜ!というものじゃなくて、生々しい、どろどろした話で(笑)
でも、少なくとも、自分たちでやりたいことを描いて、やれる会社だよ、ということを伝えていきたい。 そして、「これをやりたいよね!」という熱い想いを持った人たちを、ぜひともここに集めたいです。

松本失敗してもいいから。

笠原そう!その代わりボールは、たくさん投げる。その企画、1か月で終わり、みたいなスピード感で。

松本いいね。欲しいよね、「これやりたい!」っていうのを堂々と言える人。

笠原ウェルカムですよ。一緒に未来を語るだけでも、モチベーションが上がりますし。

松野まずは、こういうことをやっているんだって知ってもらわないといけない。昔から、色々なことをやってきているんだけど、そういう取り組みが、あまり他の部署からは知られていなくて、他人事のように思われていたりするんですよね。
そうではなくて、「全社として」新しいものを作っていこう、というのをリードするためのチームとして我々がいる、そういう風にしたいな、と思っていて。
だから、こういう活動をしている、というのをどんどん広めていきたいです。

PFUを変える、還る、そして、孵(かえ)る

シリコンバレーにあるPlug and Play Tech Centerをはじめ、今、PFU全体で新しい事業を生み出そうという機運が広がり始めている。熱意にあふれた彼らの言葉からは、決してお題目でない、変えよう、そして、変わろう、という本気の想いを感じた。

PFUには脈々と受け継がれてきた、挑戦し続ける魂がある。決して失ってしまったわけでも、枯れ果ててしまったわけでもない。日常の中に埋もれてしまった想いに、埋めてしまった情熱に、還ってもいいのだ。想いを受け止め、形にする仕組みはすでにある。ビジネスとして育てる仕組みも整いつつある。さらに、この流れを加速すべく、他にも多く取り組みが走り出している。

そして、そこから生まれたアイデアの卵が孵(かえ)り、未来のPFUを支える、新しいビジネスとして育っていく日が来るだろう。

10年後、PFUは何を作っているだろうか。『変わらぬ想い、変えてゆく未来。』がそこにある。

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