ノンストップ!全国に安心と安全を届ける運用管理センター
~新型コロナウイルスとの闘い~

2020年は未曾有の事態に直面した時代となった。世界的に猛威をふるう、新型コロナウイルスの影響は未だ続いている。

新型コロナウイルスと共存する「ウィズコロナ時代」といわれ、多くの企業は在宅勤務(リモートワーク)の対応や3密を避けるなど、働き方改革が求められている。企業は今後、より一層“安心と安全対策”が求められるようになるだろう。PFUでは2016年からリモートワークに取り組み、ノウハウ蓄積や制度の整備を行ってきた。これらを全社的に本格推進し、いち早く2月にリモートワークへ移行したことでサービスを維持している。

そんなPFUに、24時間365日 “決して止まることのないセンター”が存在することをご存知だろうか?

それが「Unified Management Center(UMC)」。

PFUはお客様のオフィスを始め、様々な場所や業種で使用されるICT機器の製造・保守を行っている。例えば、自社製品である業務用スキャナー「fiシリーズ」は医療、金融、官公庁などで多く使用されている。「組込みコンピューティング製品」は製造工場において、製造ラインの制御機器等で使用されている。
コロナ禍においても稼働を続けなくてはならないこれらの重要なICT機器を、全国800人のPFUエンジニアがお客様先へ訪問して保守・修理している。このエンジニアを統制するという重要な役割をUMCは担っている。UMCは従業員が200人以上と大規模。この中には重要なICT機器の監視・運用を行ったり、月間約10万件のアラートを処理していたりと、様々な人員が含まれる。新型コロナウイルスが拡大する中、お客様の安全はもちろん、従業員の安全も守るために様々な施策を行っている。

今回は、新型コロナウイルスに対する取り組みと共に、安全対策における方針も合わせて紹介したい。

Unified Management Center(UMC)とは

飛沫感染防止のため、区切るようにビニールで覆われている (緊急事態宣言 発令時期)

UMCとは、「コールセンター」「監視センター」「テクニカルアシスタンスセンター」「セキュリティオペレーションセンター」を統合したPFU独自のセンター。

お客様のICTマルチベンダー環境を支え、全国の拠点を統括する管理機能を担っている。

UMCのコンセプトは「お客様のICTインフラの安心・安全を支え続ける中核機能」であり、約1,300平米のワンフロアに全ての機能を集約し、問題解決までのプロセスがワンストップで対応可能だ。

  • 電話受付、お客様システムの運用監視
  • 障害の切り分け、リモート操作による対応
  • 訪問エンジニア、交換部品の手配
  • 技術サポート、作業の進捗管理
  • 作業品質の管理

このように様々な分野の役割を担っている。お客様の安心感だけでなく、お客様と直接関わるエンジニアへ安心感を与えることが重要な仕事である。

新型コロナウイルス対策は、慎重さを核に素早い決断により実行

(右)UMC事業部 事業部長 竹内さん (左)フィールドサポート部 部長 吉川さん

※撮影のためマスクを外しています。

UMCの特徴や新型コロナウイルスにおけるUMCの取り組みを、カスタマサービスマネジメント事業本部 UMC事業部 事業部長 竹内さんと、フィールドサポート部 部長 吉川さんに伺った。

24時間365日稼働しているUMC

UMCは24時間365日稼働している。それは、お客様の事業と密接に関っているからだ。UMCを止めること、それはお客様の事業を止めることになってしまい、断じて許されない。センターとして掲げるミッションを聞いた。

竹内UMCは新型コロナウイルスへの対策本部として、様々なことをしています。全国800人のエンジニアがUMCを中心に繋がっています。課題があればここに繋がりますしお客様に対しての連絡やサポートもUMCが行います。そのため直接お客様へ安心を届けること、そして訪問するエンジニアに対しても安心感を与えることがUMCとしての大きなミッションです。

センターは止められない、と話す竹内さん。その理由は、お客様に医療機関が多いことも関係している。

吉川様々な業種のお客様に対して保守を提供する中で、医療機関のお客様が全作業の約8%を占めます。医療機関は命を預かるところです。今回の新型コロナウイルスでも、何よりも重要な機関でありそのネットワークを保守している我々が止まるわけにはいきません。

PFU自社製品のみならず、他社製品も保守しお客様の重要なネットワークを保守するPFU。今回の新型コロナウイルスへの対策を伺った。

いち早く、2月にリモートワークへ移行!

PFUは新型コロナウイルスが出始めた2月には、リモートワークへ移行していた。この早さには「まずはやってみないと分からない」という行動力を重視する考え方があった。

勿論、慎重な判断を加味した上だ。対策本部として、まず保健所へ国内動向や指定医療機関の情報、自治体方針を確認し、従業員および家族の状況をヒアリング、備蓄の在庫状況等もしっかりと確認するなどの状況判断の上決定している。

竹内リモートワークは出来る限り推進して切り替えています。在宅勤務以外にも、勤務拠点を分散し、様々な拠点を使ってサービスを維持しています。台風や大雨などの災害は“電車が止まる可能性がある”と予測可能でしたが、新型コロナウイルスに関しては、どうなるか全く予測が付きませんでした。しかしその中でも、会社として出来ることを考えなくてはいけません。

吉川リモートワークを素早く動き出せたのは、世界的な状況を見ていたからです。日本以外の多くの国でロックダウンという状況が続いていました。法律上では出来ないということは分かっていながらも、もしかしたらロックダウンという可能性もあるのかも知れない、と最悪な状況を考えて動いていました。それにより、全国の拠点に役割を分散させる等の対策を打っています。またリモートワークに関しては、2月から動き出していました。

在宅勤務によるエンジニアサポート

竹内リモートワークは早く動ける部署もあれば、そうでない部署もあります。しかし、まずはやってみよう、それでダメだったら立ち戻って変えれば良いという意識があります。現在もそうですがトライアルしてみよう、という気持ちが非常に強い。現状も手探りの状態です。上手くいけばそのままで良いし、駄目であれば戻って解決策を考える、その繰り返しです。上手くいかなかったら戻れば良いから、まずはやってみるという行動の方が重要だと思います。

現在もリモートワークと出社を分けながら事業を進めている。もちろん、全ての従業員が在宅で勤務出来るわけではなく、部署毎の対策を遂行している。早さと共に慎重な判断が必要となる。

お客様への感染リスク低減と、サービスの継続対策

お客様のところに出向くエンジニアは、直行直帰を推進。これは元々推進されていた制度だが、今回の新型コロナウイルスによってその制度が更に加速することとなった。

竹内以前からエンジニアの直行直帰を進めていましたが、新型コロナウイルスによってそれが更に進みました。直行直帰のメリットは、例えば事務所で感染者が出てしまった場合でも、直行直帰をしているエンジニアはお客様先へ訪問して仕事が出来ます。事務所の閉鎖とともに業務が一緒に止まるような事態、それだけは避けなくてはなりません。

直行直帰により閑散としたエンジニア事務所

吉川UMCに関しては現在も出社人数をできる限り絞っています。もちろん、部署によりますが、出来る限り在宅勤務を進めています。 しかし在宅勤務だけにしてしまうと、環境的に何かがあった時に対応ができなくなってしまうため6割程度は出社しています。

UMCは通常のオフィス業務と異なり、コールセンターシステムや取り扱う情報の関係から直ぐにリモートワークができるわけではない。 24時間365日の安定稼働には、メンバー間のスムーズな連携やフォロー、引き継ぎなども欠かせない。 電話応対においては、通話中に周囲の音が入らないように配慮する必要がある。
UMCはこれらの課題に対し様々なトライアルを行い、しっかりとツール選定、運用方法の確立、ルール整備することによって、出社率を抑えながらサービスを継続している。

またPFUが持つ、自社開発という強みを活かして“検温ツール”も作成された。お客様から「直近2週間の検温データを提出して欲しい」と要望があり、社内で開発された。訪問先のお客様を守るためエンジニアがすぐに使えるよう実装されたエピソードだ。

従業員への対策 3.11の教訓を活かした備蓄

新型コロナウイルスが拡大する中、従業員への取り組みはどのようにしたのだろうか。

吉川まず、マスクは必ず着用して欲しいというお客様の声が非常に多かったことです。それは必ず現場に伝えました。本部としては、まずマスクの確保が重要です。マスクの供給を如何に止めないかが、第一の課題でした。

竹内我々は物流部隊を持っています。そのため、スムーズに全国へ配給することが可能です。また3.11の時から、災害に対する備蓄を増やしたことが非常に良かったと感じています。初期の段階は、備蓄でマスクの供給も十分補えました。これは、3.11で後手に回った教訓を活かしました。3.11の際、電池が必要だった時には、もうすでに電池は売ってませんでした。そういう後手に回ったということを反省し、災害に備えての備蓄を揃えて増やしていました。会社としての“備蓄の意識”が今回とても役立ちました。

近年増えている豪雨災害など、繰り返される自然災害に対して活用、補充、見直しされてきた備蓄品。マスク不足が叫ばれていた中でもしっかりとマスクを供給することが出来た。これまでの災害から学んだ知恵であり、それをしっかりと活かしている。

この他、事業所の入口を部署によって分ける、作業場所は透明なビニールシートで分ける、マスク着用や消毒液の完備、検温対策など従業員の安全を考えた対策もしている。

新型コロナウイルスが広がる中でも、サービスレベルは維持

リモートワークを推進した中で、お客様へのサービスレベルは維持している。新型コロナウイルスが拡大した後でも、お客様からの苦情はなかった。

PFUとして、どのようにサービスレベルを維持し続けるかというのが一番重要な課題だ。

竹内最初に新型コロナウイルスが出てきた際、どうやってお客様に今後の方針を打ち出すかというのは重要な課題でした。結論は“お客様に対してのサービス提供は変えない”というのが大きな方針となり、ベースになりました。もちろん心配しているお客様もいらっしゃいます。
しかし、まずは安心してもらうために“サービスレベルを変えない”という方針を第一に伝えました。
すぐに方針を打ち出すことで安心感が増します。
またエンジニアというのは、困っている人がいれば解決するためにどこまでも動きます。それがエンジニアとしての性分なんですよね。しかし、我々としては従業員の安全も大切であり、時にはお客様への訪問を止めることも重要です。行かなくていいよと、言ってあげるのもこのUMCの役目です。そういった選択も、お客様への安心・安全に繋がります。

UMCが今後目指す姿

今後のUMCが目指すのは、AIを活用した無人センターへの移行だ。現在は設備と従業員を2箇所(横浜市と石川県)に集中配置し、ワンストップ対応が可能なセンターとして全国を統制している。しかし、今後は「無人でもこれだけのサービスを提供できる」という安心感へ移行する必要がある、と竹内さんは語る。

竹内やはりUMCのような設備は、お客様にも安心感を持っていただいています。しかし、今後は無人でも提供できるサービスを向上する必要があると思っています。まさに人がいなくても動ける事業所。新型コロナウイルスによる影響も少なからずあると思いますが、自動化を進めることが今後“安心”や“安全”に繋がっていくと思っています。
自動化を進める中で、人は家にいて作業は機械がする体制を推進していきます。在宅を進めながら、個人にとってより良い働き方を追求するために我々は動きます。
すでにAIの導入を進めています。これにより、更にスムーズな経営を進めていく予定です。

UMCは常に変化し続けている。
お客様へ安心、安全を届けるために。そして従業員の安心と安全を目指して。

24時間365日、UMCの闘いは終わらない。

次回は、自動化推進で進化を続けるPFUの監視センターをご紹介します。

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